肺NTM症を学ぶ

肺NTM症を学ぶ

肺NTM症とは

近年、増加傾向にある
呼吸器感染症

肺NTM症は、NTM菌という菌に感染することで発症する呼吸器感染症で、「NTM」は「エヌティーエム」と読みます。日本語では、「非結核性抗酸菌症(ひけっかくせいこうさんきんしょう)」といいます。近年、増加傾向にあることがわかっており1)、注意が必要な感染症のひとつです。

増えている肺NTM症

肺NTM症罹患(りかん)率の
年次推移(1980 ~2014年)

罹患(りかん):病気にかかる(診断される)

  1. ※調査年によって実施団体が異なります
    1980~1998年:国際研究班による調査結果
    2001年、2007年:研究協議会による調査結果
    2014年:日本医療研究開発機構(AMED)の実用化研究事業支援による研究結果

  2. 2014年の試験概要:
    日本呼吸器学会認定施設・関連施設(884施設)を対象に、2014年1~3月の肺NTM症および結核の新規診断数を調査するアンケートを実施した。
    肺NTM症罹患率は、厚生労働省結核発生動向調査をもとに、アンケート回答における結核患者数に対する肺NTM症患者数の割合から推定した。

1,2)より改変

NTM菌の
約9割を占めるのはMAC菌

NTM菌は、結核菌と同じ抗酸菌というグループに属していますが、結核とはまったく別の病気です。NTM菌の種類は多く180 種類以上ありますが 3-5) 、約9割を占めているのがMAC菌 6) という名前の菌で、「マック」と読みます。そのため病院では、「MAC症」といわれることもあります。

結核と同じ
抗酸菌グループ

抗酸菌グループ

抗酸菌グループ 抗酸菌グループ

NTM症の
原因のほとんどがMAC菌

日本における肺NTM症の
原因菌種の割合(2011年)

対象・方法:日本呼吸器学会認定施設・関連施設(884施設)を対象に、2014年1~3月の肺NTM症および結核の新規診断数を調査するアンケートを実施した。

6)より作成

人から人へ感染しない

結核との大きな違いは、人から人へ感染しないといわれていることです。NTM菌は水や土壌などの自然環境や、台所や風呂場などの水回りの生活環境に生息しており、それらを吸い込むことで感染します。

結核と違って
人から人に感染しない

結核

肺MAC症

感染経路

人から人へ感染します

人から人へは感染しないといわれています
主に水や土壌などの自然環境、水回りなどの生活環境にいる菌を吸い込むことで感染します

症状の進み方

急激に悪化することがあります

多くはゆるやかに進行しますが、
患者さんによってまちまちです

初期は無症状のことも多い

初期は無症状のことも多いですが、長引く咳や疲れやすいなどの症状が繰り返し起こるようになり、病気が進んでくると、咳や痰(たん)の症状が強くなり、血痰(けったん)や喀血(かっけつ)、体重減少などがみられることもあります。

結核と同じような症状が
みられる

長引く咳・痰 長引く咳・痰
長引く咳・ たん
血痰 血痰
血痰 けったん 喀血 かっけつ
体重減少 体重減少
体重減少

中高年のやせ型の
女性に多い

はっきりとした原因はわかっていませんが、中高年のやせ型の女性で、ガーデニングや家庭菜園など土いじりが好きな人に多いといわれています7~9)
肺NTM症と診断された人の割合(人口10万対)をみると、男性よりも女性の方が高く、40歳以降に急激に増加がみられます10)
そのほか免疫を抑える治療をしていたり、免疫が低下する病気の人では肺NTM症に感染しやすいといわれています。

中高年のやせ型の女性で土いじりが好きな人に多い7~9)

中高年のやせ型の女性 中高年のやせ型の女性
中高年のやせ型の女性
土をよくいじる 土をよくいじる
土をよくいじる

40歳以降に急激に増加

肺NTM症と診断された人の割合(2011年)10)

  1. ※ 2009 ~ 2014年に収集された全国のレセプト情報から、対象期間に肺NTM症と診断された約37万人分のレセプト情報を解析。

Reprinted with permission of the American Thoracic Society.
Copyright © 2020 American Thoracic Society. All rights reserved.
Izumi K, Morimoto K, Hasegawa N, et al. Epidemiology of Adults and Children Treated for Nontuberculous
Mycobacterial Pulmonary Disease in Japan. Ann Am Thorac Soc. 2019; 16(3): 341-347.
Annals of the American Thoracic Society is an official journal of the American Thoracic Society.
The authors, editors, and The American Thoracic Society are not responsible for errors or omissions in translations.

肺NTM症にかかりやすい人

肺の病気がある
(気管支拡張症、 COPD)

結核にかかった
ことがある

胃の病気がある
(胃食道逆流症)

免疫を抑える治療
(生物学的製剤、ステロイド)
を受けている

リウマチがある

COPD:慢性閉塞性肺疾患

水や土壌などの身の回りに
存在するNTM菌

NTM菌は、水や土壌などの身の回りに存在するため、日常生活のなかで気づかないうちに感染します。NTM菌が含まれている水のしぶきや土ぼこりを吸い込むことでからだに侵入しますが、菌を吸い込んでも感染する人はごくわずかです。そのため、同じ環境で生活をしている家族内でも、感染する人と感染しない人がいます。
はっきりとしたことはわかっていませんが、患者さん自身が感染しやすい何らかの要因をもっている可能性が指摘されています。

水や土壌などの
身の回りに生息

水や土壌などの身の回りに生息 水や土壌などの身の回りに生息
水や土壌などの身の回りに生息 水や土壌などの身の回りに生息

日常生活のなかで
気づかないうちに感染します

健康診断で
みつかることも多い

初期の肺NTM症は、無症状のことが多いため、健康診断やほかの病気の検査がきっかけとなって、偶然にみつかることが多いです。
無症状の場合は、そのまま放置してしまう人も少なくありません。
肺NTM症の疑いがあるといわれたら、早めに呼吸器専門医を受診し、どのような状態なのか、しっかりと診断してもらうことが大切です。

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